SANDBIRD

日記

映画「すずめの戸締まり」。震災の記憶を喚起させる演出は素晴らしかったと思う。まともに被災した人はなかなか観られないだろうし、海外ではどう観られるだろうかと思うところもあるが、トラウマを刺激されるほどの強烈なメッセージ性があったことは間違いない。それだけに可愛いネコやイスをお供としたピクサー的なロードムービーとの食い合わせの悪さが目立った。好きな人を助けるって言うけどイケメンに一目惚れしただけだよな…とか、人が犠牲になるのはここまで嫌がるのにダイジンが犠牲になるのは許容するんだ…とか、盛り上がりどころでおぞましい怪物にイスをぶっ刺すのなんかは完全にギャグではないか…とか、ちょっと冷静になると引っかかるところが多い。もちろん国民的大作アニメ映画を志向するにあたってどちらの要素も欲しいことはわかる。ただ「こういうラストにするならこれを入れたいあれも入れたい」と逆算で要素を詰め込んだことで全体的なバランスを崩していたように感じる。バランスは崩れているけど一撃が刺さる、なんていつもの新海映画じゃん、と言ってしまえばそうだが。