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キルケーの魔女。前回は「気の合う敵」との友情・愛情めいた交流を描いていて、今回は下世話な噂話とかしている世俗的な仲間とのズレを描く。つまりハサウェイは後者とは気が合わない。そのために船の中の生活感とか人間関係とかをあれだけ丁寧に描いていたのに、それをあっさり退場させるというのがどうにもチグハグに感じる。それが簡単に無くなってしまうなら、ハサウェイの悩みはなんだったんだよという話になる。「高尚な指導者(マフティー)」と「低俗な肉欲(ギギ)」の対立でありつつ、しかし実態として低俗なのはマフティーで、高尚なのはギギなのだから捻じれている。高尚なハサウェイとギギは気が合うのだから好意を持つし肉欲も抱く。それから逃げようとして「肉欲を持たない指導者」という存在しないものになろうとして、しかしギギと再会する。マフティーやキルケー部隊の低俗さ、猥雑さこそ現実的だし、人間的だし、魅力的なものであって、ハサウェイはそこに背を向けてギギとの閉じた関係に収束するのか。