SANDBIRD

日記

しかし「主人公」あるいは「語り手」の特権性というのは、あまりピンと来ない。「探偵」の特権性ということになるとミステリでさんざん扱われていて新味に欠ける。最初からJくんは「探偵を装っているだけ」というのが示唆されているし、この事件を鳥瞰できたこともない、会うやつ会うやつ黒幕気取りの天才ばかりで、比較して主人公は凡人であることを自認する、到底「特権性」が描かれているとは思えない。持ち上げられて落とす、ではなく、「やっぱりダメだったよ」でしかないと感じる。ただ、作者の意図はどうかということになると、確かに「ラノベの主人公」批判的なものが織り込まれている節はあり、単にそれに失敗しているだけではないかという気もする。まあ読者=主人公=語り手というイコールは疑ってかかるべきでしょう。